2010年10月11日
いつかは軽井沢・・・
敷地の片隅に顔を出したジコボウ(ハナイグチ)
北九州から長野に帰り着いたのは午前2時、眠い目をこすりつつ朝8時から信州大学坂牛研究室の「ANTIPODAS 10」の設営に立会い、お昼前に軽井沢に向かう。ついでに乗せた娘とその友達をアウトレットへ置いて、一枚の地図を頼りに敷地を探しました。
幸いその場所は迷うことなく見つかりました。某ゴルフ場にほど近い、300坪あまりの別荘地。敷地はいくぶん北西側に傾斜したカラマツ林、西隣のほぼ同じ大きさの土地には未だ建物はありませんが、そのほかの周囲の土地には築数年から十数年といったところの建物がすでに配置されています。たまたま居合わせたご近所の方の話では、ほとんどが別荘で、西側の小高い丘の上に立つ一軒だけはご近所から「社長さん」と呼ばれている方が定住されているとのことでした。
カラマツはすでに何年か前に間引かれた跡があり、適当な間隔を保って立っています。カラマツの葉が堆積した土壌はふわふわした感触。地元の業者らしい売主によって手入れされているようです。ところどころにジコボウ、ヌメリイグチ、ムラサキシメジといったキノコが顔を出していました。
この敷地に別荘を計画するのですが、まだお施主さんに会っていません。事情あって、お施主さんにお会いする前に計画図をつくることになりました。本来なら自分たちの仕事はお施主さんとの打ち合わせなしにはありえません。その人の個性に合わせ、その人の生活にふさわしい器を提案すること。それが自分たちの仕事なんですから。
ちょっと整然としすぎている気もしますが・・・
では今回のように、それができないときにはどうすればよいでしょうか・・・。 それは、敷地へ足を運ぶことです。「お施主さん」、と同じように「敷地」もそれぞれの設計で二つと同じもののない条件だからです。どんな敷地にもそこにしかない条件が無数にあり、それらひとつひとつに丁寧に対応していくことで、とりあえずはその場所にふさわしい建物を提案できると考えます。もちろんお施主さん抜きですから片手落ちですが・・・。
さて、この敷地で自分が何を見てきたか、それはもしこの設計を自分たちができることになったら、その時にお話ししましょう。(お話しできると良いのですが。)
それにしても軽井沢、いいですね。どうにも空気が違う・・・いや、違う。空気じゃない。空気がきれいとかそんなことじゃなく、気候が良いとか、自然が豊富とかいうことでもなく。湿度が高く、霧の出ることも多いし、幹線へでれば観光客も多く、騒がしいところも多い。どういえばよいか難しいですが、強いて言えば「丁寧に」つくられ、つかわれているという感じ・・・でしょうか。上品なたたずまいの建物、苔むした石垣、自然に見えてそうでもなく、それとなく人の手が入れられた庭。なんでもない小道なんだけれどもそれぞれの植生がなんともうまくバランスしているように見える。それぞれが「丁寧に」生きている感じがするんですね。
ちょっと自分のキャラに合わない気もしますが、それでも「いつかは軽井沢に・・・」なんてちょっと思ってしまうんですね。
分かれ道に蔽いかかるのは栗の木です
Posted by take4 at 08:00│Comments(0)
│広瀬毅コラム